ユング心理学の世界へようこそ

子どもの中に投影される親の「影」

あまり認めたくない感情かもしれませんが、
自分の子どもを見ていて、たまにイラっとしたり

ストレスを感じたりしてしまうことはないでしょうか?

 

例えば、友達の輪に入っていけずにウジウジして泣いていたり、
自分の気持ちを素直に表情や言葉に出す無邪気な姿…。

なんだかわからないけど無性にイライラして、
子どもについ冷たく当たってしまったり。

 

どうしてそうしてしまうのか分からず、
自分で自分を責めてしまったりしたことはありませんか?

 

ユングによれば、それは、
あなた自身の影の部分を子どもに投影しているからなのだとか。

ウジウジする自分、ハッキリものが言えない自分、弱い自分。
人の不幸をざまあみろと思ってしまう自分、

笑ってはいけない場面で、つい可笑しくなってしまう自分…。

 

普段はひた隠しにして自分でも気づかないようにしているつもりでも、
あなたの中にはそういう「嫌な」自分が存在しているハズです。

自分の子どもの行動の中にその「影」を見つけた時、
人はつい感情的に反応してしまうんですね…。

 

もし、あなたがそんな自分に思い悩み、
子育てにストレスを感じているのなら、

まずは自分自身の内面と対話してみるべき。

 

それは、あなたの子どもの問題ではなく、
あなた自身の問題なのですから…。

家族療法とユング派心理療法

前述のように、人は、
自分の中の影の部分を子どもに投影してしまうことがあります。

 

その結果、親が子どもに冷たく当たってしまうことが多くなるのであれば、
子どもだって心理的にストレスを受けるでしょう。

それは、子どもの将来にも深刻な影響を与えます。

 

このことから、家族の心の問題は、1人の問題ではなく
“家族全体”を単位にして見ていくことが大切である

ユングは説きました。

 

ユングのこうした理論は、家族療法にも大きな影響を与えたようですね。

 

これは、子どもがいない家庭にもあてはまることだと思います。
例えば、旦那の一挙手一投足に苛立ってしまうという奥さまの場合、

それは旦那様が悪いわけではなくて
あなた自身の心の問題である可能性もあります。

 

旦那様に自分の影の部分を投影していたり、
または理想を押し付けていたり…。

 

旦那様のありのままの姿を認めてあげられないのは、
相手にとってはもちろんのこと、あなた自身にとってもストレスです。

それでは、家庭に帰ってきてもお互いにリラックスできないでしょう。
(経験上、「不機嫌」は周りに波及しますし…苦笑)

 

このような夫婦関係についても、どちらか片方の問題ではなく、
「家族」の問題として捉えていかなければ

根本的な解決には至らないでしょう。

子どもを対象とした箱庭療法

ユング派心理療法の代表的な技法の一つに、「箱庭療法」があります。
箱の中におもちゃを置いたりする、アレです(笑)。

 

ただし、適当な箱の中におもちゃを並べさせれば良い…
というわけではなく、正式には、

横57cm、縦72cm、深さ7cm程度の内側を青く塗ってある箱に、
深さ3cm程度まで砂を敷いたものを使います。

この箱の中に、砂や石、様々なおもちゃを用いて
自分の“世界”を表現するわけです。

 

この箱庭療法、子どもの心理治療によく利用されているようですね。
自分の気持ちをまだ上手に言葉で表現できない

子供たちの内面を理解するためには、
こうしたおもちゃを使った表現方法が有効なのです。

 

川を作ったり山を作ったり、乗り物に乗った人を登場させたり、
動物を登場させたり…。

 

箱庭という小さな限られた空間の中に自分の内面を表現することによって、
心のエネルギーの循環を改善することができるんですね。

 

さらに、登場するおもちゃが持つ象徴的な意味を理解する上でも
ユング心理学が非常に役立ちます。

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