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男性にとっての最終的到達点!

昔話などを読んでいると、必ずと言って良いほど、
人生を悟りきった「長老」のような人物が登場しますよね。

助言や忠告を与えて、主人公を正しい方向へ導いてくれる存在…。
それが、ユングが言うところの老賢人(オールド・ワイズ・マン)です。

 

これは、男性にとっての「成長の最終的到達点」とも言われる段階。
この老賢人は「父親元型」でもあり、

経験の知恵や理性の表れでもあります。

 

簡単に言うと、人生の悟りを開いたような状態ですね。
人間、長く生きていれば、

経験の分だけ知識も知恵も深くなりますから(笑)。
「仙人」のような境地に到達するのが理想とも言えるかもしれませんが、

そうはいかないのが人間の難しいところ。
年齢を経るにつれて、

残念ながら内面が醜くなっていく人っていますよね。

 

そういう意味では、「老賢人」になれるかどうか、
少しでもそのイメージに近づけるどうかが、

その人の“生き方”の結果とも言えるのかもしれません。

 

できれば、現実の社会的な権威を超越した老賢人に近づけるように
年を重ねていきたいものですよね。

 

ちなみに、女性の場合は「グレートマザー(太母)」
男性における「老賢人」に相当する段階。

「あらゆる物を育てる偉大な母」を象徴するイメージで、
女性にとっての「究極的な目標」として例えられます。

「無意識」についておさらいしよう

老賢人や太母については、
「無意識」の概念なくして語ることはできません。

 

ユングによれば、意識(ふだん認識している世界)の下には
広大な“無意識”と呼ばれる領域があるのだとか。

それは文字通り普段は意識されないものの、
例えば睡眠中など意識の働きが低下している時には

その“無意識”の領域から
様々なイメージが湧きあがってくるのだといいます。

 

それが、いわゆる“夢”になるわけですが、ユングによれば、
その無意識には、

人類全体が共有して持っているモチーフも存在するのだとか。
それが、元型(アーキタイプ)と呼ばれるものです。

老賢人や太母は、その中の一部です。

 

このイメージが、様々に形を変えて、人々の夢の中や
伝承、民話、昔話などの物語の中に登場するのです。

ユングが提唱した5つの「アーキタイプ」

前述した、“無意識”の領域にある“元型(アーキタイプ)”には、
シャドウ、アニマ、アニムス、グレートマザー、

オールドワイズマン…の5つが含まれています。
最後のオールドワイズマンが、いわゆる老賢人ですね。

 

それぞれについてごく簡単にまとめてみましょう。

 

☆シャドウ
もう一人の自分、「そうなったかもしれない」自分です。

私たちは生まれながらに様々な可能性を持っているわけですが、
その後の生育環境の中でパーソナリティが形成されていきます。

シャドウは、「そうなる可能性はあったのだけどそうはならなかった」
もう一人の自分の性格。言いかえれば“分身”です。

 

☆アニマ
男性が無意識の中に持っている女性原理です。

言いかえれば、理想の女性像ですね。
これは、「男らしくあるべき」という社会的なプレッシャーによって

普段は抑圧されてしまっていますが、
恋をすると自分のアニマイメージを

相手の女性に投影することがあります。

 

☆アニムス
女性が無意識の中に持っている男性原理です。

「アニマ」の逆を想像すると分かりやすいでしょう。
つまり、女性の中の“内なる男性”。

男性に自分のアニムスイメージを投影して
恋に落ちることがよくあります。

 

☆グレート・マザー
あらゆる物を育てる“偉大な母”のイメージ。

女性が到達すべき、究極の目標です。
ただ、「子供を束縛して飲み込んでしまう」という

恐ろしいイメージも伴うため
必ずしも良い意味だけでは使われないようです。

母からの精神的乳離れの象徴として、
このグレートマザーとの「対決」が

テーマに挙げられることも多いです。

 

☆老賢人(オールド・ワイズ・マン)
グレートマザーの男性版のようなイメージ。

男性にとっての最終的到達目標です。
こちらも、「ファザー・コンプレックスと結びつく」

というネガティブな側面もあり、
成長の過程で乗り越えるべき象徴の一つとして

挙げられることもあります。

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