ユング心理学の世界へようこそ

あなたは外向?それとも内向?

友達や恋人と同じ映画を観に行った時、終わった後の感想が
お互いにまるで違っていて驚いたという経験はないでしょうか?

 

登場人物のファッションやメイク、ロケ現場の町並みなど
「物理的なもの」ばかりに目が行く人もいれば、

登場人物に自分を重ねて
そこで湧きあがってくる感情を中心に鑑賞する人もいます。

 

さて、あなたはどちら?

 

同じことは、TVドラマや小説などでも起こり得ることですよね。

 

ユングが定義した人間の「タイプ論」は、
こうした例から考えると非常に分かりやすいと思います。

 

ユングのタイプ論では、
心のエネルギーが「外側」に向いている人を「外向的な人」

自分の「内側」に向いているの人を「内向的な人」と分類しています。

 

外向的な人は、言い換えれば社交的な人。
心のエネルギーが外に向きやすいために、

世の中の情勢や流行に左右されやすいタイプです。

 

一方、内向的な人は、心のエネルギーが内側に向いている人。
外からの影響よりも自分の内側の影響を受けやすいタイプです。

気分に左右されやすい面もありますが、
控えめで我慢強い傾向があります。

 

誤解のないように補足しておきますが、このタイプ論は、
どちらが良いとか悪いとかを議論するためのものではありません。

 

ただ、目の前の相手がどっちのタイプかを見極めることができれば、
人づきあいがちょっぴり楽になることは確かです。

相手の反応がなんとなく予測できるようになってきますので…。

心が持つ4つの機能とは

「なんとなく好き」「嫌い」で洋服を選ぶ人もいれば、
「デザインのココにこだわりがあるから好き」

…と具体的なポイントで服を選ぶ人もいます。

 

また、「今買わないと後悔しそうだから!」
という“勘”で思い切って衝動買いをする人も…。

 

もちろん、その時の状況次第で考え方や行動は変わってくるものですが、
人によって“心の動き方”には特徴があるものです。

 

これは、ユングが提唱したタイプ論にも通じていること。
ユングによれば、人の心には4つの働きがあるのだそうです。

それが、「思考」「感情」「感覚」「直観」です。

 

さらに、この4つの機能のうち「どの機能が最も強く働くか」で、
人をタイプ分けすることができるんです。

 

 

◆思考
物事を論理的に捉える心の機能です。

いますよね、何でもかんでもとにかく“理屈”で考えようとする人!
特に、男性に多いような気がしますが…?

このタイプの人と口論になると、正直、
ちょっと面倒くさいですよね…(苦笑)

 

 

◆感情
「好き・嫌い」「快・不快」で物事を判断するのが、「感情」という機能。

食べ物、人、仕事、服…
気づけば何でもこの基準で物事を判断している人は、

感情型のタイプです。

 

ちなみに、この「感情」の機能は「思考」と正反対の機能。
「感情」が優位に機能する人は、「思考」のコントロールが苦手ですし、

逆に、「思考」が優位な人は感情のコントロールが苦手なようです。

 

 

◆感覚
物ごとを「見たまま」「そのまま」「あるがままに」感じ取る機能です。

そこに「好き」だとか「嫌い」だとかいったような、
“感情”をはさむことはあまりありません。

とにかく、「それがどうなっているのか」を緻密に把握する。
化学の実験には欠かせない要素ですね。

 

 

◆直観
いわゆる「思いつき」や「ひらめき」といったもの。

ユングのタイプ論によれば、「感覚」と正反対の機能と考えられます。
「直観」が優位に機能する人は、

「感覚」を頼りにして緻密に進める仕事は向いていませんし、
逆に「感覚」が優位な人は

物ごとの「本質」を捉える力が欠けていると言えるでしょう。

タイプ論と自己実現

ユングの「タイプ論」によれば、
私たちは「外向的」か「内向的」のいずれかのタイプに分けられます。

 

さらに、人の心には
「思考」「感情」「感覚」「直観」の4つの機能があり、

どれが最も強く働くかで、人をタイプ分けすることができるといいます。

 

要するに、「内向・外向」と
「思考」「感情」「感覚」「直観」の組み合わせで

合計8つのタイプに分けられることになりますよね。
そこから、自分の中で主として働く「主機能」と

やや荒削りな働き方をする「劣等機能」を特定し、
「あまりうまく働いていない機能」を洗練したり強化したりしていく過程…。

 

これを、ユングは「自己実現」と表現しました。
この過程では、本来は主機能であるのに

環境的な要因で抑え込まれている機能を発掘したり、
よく働いている機能をさらにパワーアップさせたり…と、

「新しい自分」を作っていくことができます。

 

もっとかみ砕いて言えば、
「自分らしさとは何か?」を改めて見つめ直し

「本当の自分」「自分らしい自分」に少しずつ近づいていくことが
「自己実現」につながるわけです。

 

「自分らしく生きる」ためには、自分自身の内面を良く知ること。
当たり前のように思われるかもしれませんが、

それは決して容易なことではありません。
自分自身の内面と対話することはもちろんのこと、

人との関わりの中から見えてくることも多いですから…。

 

自分を知りたければ、家に引きこもってばかりいないで
どんどん人の輪の中へ入っていったほうが良いですよ◎

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