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転移とは?

ユング派心理療法のカウンセリングにおいて、
一つのキーワードとなっているのが「転移」と「逆転移」

 

後者の方は、前者の逆かな〜となんとなく分かると思いますが…。
「転移」って一体、どのような現象を言うのでしょうか。

 

もちろん、ガンの転移とは違いますよ。

 

「転移」とは、治療を受ける側である来談者が
治療者との間に抱くある種の感情のこと。

具体的には、父親や母親、兄弟や教師…といった、
それまでの人生で重要だった人物との関係を重ね合わせることが多いようです。

 

もちろん、最初はそんな感情は抱きません。
転移が生じるのは、ある程度まで治療が進んでからです。

 

徐々に、

 

「先生はちゃんと話を聞いてくれているように見えるけれど、
それは私が良い子にしているからだ。

私が悪い子になったら、きっと見捨てられるに違いない」

 

「もっと自分を心配して欲しい。もっと甘えさせて欲しい」

 

「どうして自分のことをもっと分かってくれないんだろう」

 

「この人には絶対に負けたくない」

 

…といった特別な感情を抱くようになります。
これが、ユングの言うところの「転移」。

この感情は、治療において非常に重要な意味を持つもので、
この感情を突き詰めて分析していくことは、

相談者が抱えている心理的問題を解決することにつながっていきます。

逆転移とは?

ユングが提唱した「転移」とは、
相談者側が治療者に対して抱く特別な感情のこと。

では、「逆転移」は?

 

…そうです、今度は、治療する側が相談者に対して抱く感情ですね。

 

治療を続けていくうちに、
相談者を自分の子どものように思えてきたり、

恋愛感情に近い感情を抱いてしまったり…。
これもまた心理療法では重要なポイントであり、

相談者自身の、そしてまた、治療者の心の問題にもつながっていきます。

 

ユング派分析家になるために、
まずは「自分が分析を受けること」を最優先しているのはそのためです。

自分自身の心の問題や考え方のクセを知っていなければ、
逆転移が起こった時に冷静に対応できないですよね?

 

でも、これって良く考えてみると当たり前のことだと思いませんか。
相談する側も受ける側も、心を持った「人間」であるわけですから、

何らかの影響を及ぼし合うのは当然のことです。

 

ユングの言う「対話」とは、こうした影響の及ぼし合いを
重要視するものだったと言っても過言ではないでしょう。

 

問題は、その「転移」「逆転移」をどう扱うかということです。

転移・逆転移を克服するには

人の気持ちというものは、
理性だけでどうにかコンロトールできるほど簡単なものではありません。

「思うな!」と言っても、思ってしまうだから仕方がないでしょう(笑)。

 

転移や逆転移が起こった場合は、
その感情を押さえつけて「なかったこと」にしてしまうのではなく、

「なぜそんな感情が出てきたのか」
「その感情は、過去、誰に向けられた感情と一致するのか」

…を突き詰めて分析していくことが大切なのです。

 

もしかしたらそれは、
「甘えたかったのに甘えさせてくれなかった父親への怒り」

なのかも知れませんし、
「母親から冷たくあしらわれたことに端を発する、

人から拒否されることへの恐れ」
なのかもしれません。

 

そして、そうした感情が、
日常生活での人間関係の構築になんらかの影響を及ぼし、

その人を「生きにくい」状態にしてしまっている可能性もあるのです。

 

だからこそユングは、
「転移」「逆転移」の問題を非常に重要視していたんですね。

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